俺にもっと溺れろよ。





朔先輩は、さっきよりも頭を深く抱えてる。

その姿は、なんだか余裕がなさそうにみえる。



「じゃ、じゃあお言葉に甘えて......」



朔先輩の有無を言わせない威圧感に負けてしまった。

ほんとにこのままだと風邪引いちゃいそうだし......。

朔先輩も雨で濡れてるし早く上がらないと......。

そんな思いで案内してもらったお風呂場に言った。


わたしがシャワーを浴びてる時とき──。





「......はぁ、桃花今の状況絶対理解してないだろ。


お願いだからこれ以上は......煽んないで......」




朔先輩がこう呟いていたのは、聞こえているはずがない。









*




「......朔、先輩......シャワーありがとうございました」



シャワーを浴び終えて、リビングにいる先輩に声をかける。

......無駄にドキドキしちゃう。



「ん、......ってなんで下履いてないの?」



わたしの声に振り返った朔先輩は、少し怒ってる様子。


「上の服が思ったよりも大きくて......履かなくてもいいかなって思って......」



用意してもらったズボンも、一応履いてみたけど、すぐにずり落ちちゃった。




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