俺にもっと溺れろよ。





もう、ダメかと諦めかけたときだった──。



早瀬先輩が、



「いいよ」





そう呟いたのは。


「......!?」




まさか、YESの返事が返ってくるとは思わなかったので夢かと思いもう一度聞く。




「い、今。なんて言いました?」





早瀬先輩の返事を待つ。


早瀬先輩から出た言葉は、


「いいよって言ったけど。」





やっぱり、YESだった。


「ほ、ほんとですか」





「うん。ほんとだよ」




正直、すごく驚いてる。


だけどわたし以上に驚いてる人がいた。


......それは。



天沢先輩。


めっちゃ驚いてるよ。

開いた口が塞がらない状態。



「夏輝、そういうことになったから」





早瀬先輩は天沢先輩にそう言った。



「あ、あぁ」





まだ、驚いてる天沢先輩が返事をする。


ほんとにすごく驚いてる。


そんなのお構いなしに、


「行くぞ」





早瀬先輩はわたしの前を歩き始めた。



わたしは天沢先輩に一礼して、


「はい!」



先輩のあとを追いかけた。



天沢先輩が、


「あの、朔がねぇ......」





なんて、呟いてたことにも知らずに──。




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