俺にもっと溺れろよ。
「この卵焼き、めっちゃ美味い」
やっぱり、早瀬先輩はよく分からない。
ただ、わたしの心を上げたり、下げたりするのが得意なのはよく分かる。
ほんとにほんとにその笑顔反則です。
その笑顔にときめかないわけないですよ。
「ほ、本当ですか......?」
「本当。
てか、心配しすぎ......」
意地悪な笑顔で先輩がそう言うから、安心した。
その笑顔には一生かなわない気がするな......。
もう、なんとも分からない気持ちになってばくばくと食べる。
「......ははっ、勢い良すぎ。
ほら、ついてる」
なんて、言いながらわたしの口の横に付いてたらしいおかずだったハンバーグのソースを先輩が取る。
その取ったソースを早瀬先輩が舐める。
先輩は、全部が突然すぎる。
一瞬ときが止まった気がした。
本当に止まったかもしれないけど。
だけど、確かにわたしの心臓はすぐに動き出して。
──ドクドク。
なにそれ。
ほんと、なんなんですか先輩。
「......うまっ」
そう言う彼にわたしの胸の鼓動がとまらない。