俺にもっと溺れろよ。




「そっか......。


分かってたけどね」





彼の切なそうに揺れる瞳を見ると胸が痛くなる。



なにを分かってたんだろう......?



「本当にごめんね。


でも、本当に嬉しかった」





「そう言ってくれるだけ、嬉しいよ」






ほんとにどうしてわたしなんだろう。



山下くんなら、もっと──。



「どうして、俺が南さんを好きなんだって?」





「えっ!?


わたし、口に出てた?」





どうやら、本当に口に出ていたらしく。





「うん」





コクリと頷く山下くん。



バカにもほどがあるでしょ、わたし。



ほんと、恥ずかしい。



顔がだんだんと赤くなっていくのが分かり。


思わず、顔を手で隠す。




「南さん、可愛いなぁ」





「か、か、か、可愛い!?」





不意に可愛いとか山下くんが言ってくるからもっと顔が赤くなる。



や、やっぱり、チャラいかも。




「そんなの、内緒だよ」




爽やかな笑顔をこぼしながら言う彼にほんの少しだけドキッとしてしまった。


は、早瀬先輩一筋だけどね!



山下くんも心臓に悪い人物第5位ぐらいかも。
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