俺にもっと溺れろよ。




「へぇ〜、そうなんだ!!


わたし以外にも知らない人いるよ〜!」





当たり前だと思ってそう言ったら、




「いや、あんたぐらいだよ知らないの。



だって、入学初日からずっと騒がれてたじゃん」





青ざめた顔で風ちゃんはわたしを見てきた。




「う、嘘......!?」





「いや、本当」





全然、知らなかった......。



わたしは多分入学してからずっと早瀬先輩のことしか見えてなかったから......気づかなかったんだ。




恋愛ごとには結構疎いと思ってたけど。



......ここまでとは思ってなかった。




自分がバカバカしく思えてくるよ。




「桃花、先輩のことしか見えてなさすぎでしょ」





「うん、自分でも思う」





ほんと、正論です。




今日から師匠と呼ばせてもらおうかな。



こんなこと言ったらめっちゃ怒られそうだけど。




なんてアホらしいことを考えていたら、昼休みの終わりを告げる予鈴がなったので、わたしは、自分の席にしぶしぶ戻ったのだった。
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