俺にもっと溺れろよ。




元から、そのつもりだったって......。



ほんと、先輩は期待させることばかりする。




ずるいですよ、先輩。。。



「ほ、ほんとにいいんですか?」





「いいってなにも俺から言うつもりだったし」





さっきから胸がドキドキ高鳴りすぎて先輩に聞こえないか心配だ。



どうしよ。


こんなの、心臓もたないよ。



「ほら、行くぞ」




それだけ言ってわたしの前を歩き出す。




どうしてもこの距離を詰められない。




先輩と一緒に帰るのはあの日以来。




こうして先輩と帰れるのは凄く嬉しい。




だけど、この距離を見てしまうと。。。






どうしても胸が苦しくなるの......。




「あの、先輩。


今日、本当にお昼すいませんでした」





そんな思いをかき消すように言う。



「いや、用事だったんだろ?」





「ちょっと、呼ばれて......あ」





今、わたし超いらない話したよね。




「呼ばれたって誰に?」





「え?」





まさか、わたしのいらない話に先輩が乗ってくるとは思わなかった。


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