俺にもっと溺れろよ。
バカじゃん、わたし。
世界で優勝できるぐらいのバカだよ。
「うん」
声に出したら終わりじゃん。
「まぁ、さっきの先輩もバレバレだったけど......」
......え?
山下くんがなんか、喋った気がするけど、聞き取れなかった。
まぁ、いっか!
......ってそれより!!
出さなかったらまだバレない可能性あったかもしれないのに。
はぁ。
自分のバカさにため息がでる。
それより。
「なんで、知ってるの?」
「顔に出てたのもあるけど。
好きな人。桃花ちゃんのことずっと見てたから分かる」
"好きな人"と言う言葉にドキッとする。
ずっと、見てたからって。。。
陽翔くんは笑顔だけどどこか切ない顔をしている。
わたしって、人の気持ちも考えないで。
最低......だよ。
とても申し訳ない気持ちになる。
「そんな、顔しないで」
陽翔くんは、わたしの顔を覗く。
距離が近くなって焦る。
だけど、自分の情けなさが勝って、
「ご、ごめんね......」
わたしは、そう言う。
「謝る必要なんてないよ。
俺にもチャンスはあるし......ってもうアピールしても無理そうだな......」
そんなわたしを見て、こんなことを言ってくれる陽翔くんはほんとに優しい。
後半は、なんて言ったかしっかり聞き取れなかったけど......。