俺にもっと溺れろよ。




その優しさに泣きそうになる。



チャンスがあるの意味は全然、分からないけど。




なにもなかったように。




「遅刻するから行くよ!」





わたしの手を掴んで、走り出す陽翔くんに。



「う、うん」





わたしは着いて行くしかできなかった。




さっき思った嫌な予感が違う意味で当たるとは知らずに──。
















わたしはいつも通りと言うよりかは奇跡的に今日も早瀬先輩とお昼を過ごしていた。




だが、どうしてもご飯が口を通らない。



その理由は、朝のことがずっと気になっているから。



気になって気になって仕方がない。




授業中も朝のことが頭にずっとよぎって、先生に注意されたほどだ。




でも、誰でも気になるでしょ。



あんなことされたら。





当の本人は、パクパクとご飯食べているけど。




「食べないの?」





“食べないの?”って誰のせいで食べられないと思っているんですか......!!





相変わらず先輩は、呑気だな。




食べられるわけない。




なんか、もうずっと朝から胸がドキドキしてるんですけど。



あぁ〜、気になる。





なんで、あんなことをしたのか。


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