俺にもっと溺れろよ。



「......教えて欲しい?」



さっきとは違う表情。



真っ直ぐな瞳が私を見ていて、胸が高鳴る。



もぉ、早瀬先輩はどれだけ私の事をドキドキさせるつもりなんですか!?


私、いつもドキドキさせられっぱなし。




「......はい」




そりゃ、教えて欲しいですよ。



教えてくれなきゃ、授業どころか、今後の生活にまで支障が出そうだもん。


ずっと頭の中、早瀬先輩の事でいっぱいになっちゃう。



早瀬先輩の瞳にかっこよさに負けそうになりながらも、必死に答えを待つ。




「じゃあ、早瀬先輩じゃなくて朔(さく)って呼んで?」




「......っ、っんえっ?」





あまりの予想外の答えに、変な声がでる。



......っちょ、ちょっと待って。




今、なんて言った?




確か、早瀬先輩の下の名前は朔。



うん、確実に今その名前言ったよね?




で、私に早瀬先輩じゃなくて、"朔"と呼んでと......。



てっきり、わたしがヘマしてしまったから教えてくれないか、さらに意地悪な事を言われるんだと思ってたから、予想外の展開に驚きが止まらない。




「......ははっ、どんな声出してんだよ」




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