俺にもっと溺れろよ。

優しく私を見つめながら笑う早瀬先輩に、また好きが増える。




「......ってか、いいんですか！？



下の名前で呼んでも」




これって、ある意味ご褒美なんじゃ。



私がヘマしたのにいい方向にいってない？




「......ん、いいよ。




特別 」






────ドキッ。




私の胸の鼓動が今までにないぐらい跳ね上がる。



＂特別＂



早瀬先輩から出た嘘みたいで嘘じゃない言葉。




今日の先輩なんなの。



以前の早瀬先輩とは違う、対応におかしくなりそう。



わたしを喜ばせる天才だし。




わたしの気も知らないで、そんな簡単にそんな言葉使っちゃダメですよ。




だけど、単純なわたしはその言葉にドキドキしてる。





「......言って？」





心做しか、早瀬先輩の声が甘い気がする。




......って、そんなわけないか。


自惚れちゃダメだ。





「......さ、朔先輩？」





ずっと早瀬先輩じゃなくて、朔先輩って呼ぶのに憧れがあった。


だけど、実際言うってなると恥ずかしい。



でも、恥ずかしいけど、前より少し先輩に近づけたみたいで嬉しい。