俺にもっと溺れろよ。
言えるわけないだろ 朔side.
「......あっぶね。
可愛すぎてそろそろ限界かも......」
いつからだっけ。
俺がこんなこと思うようになったのは──。
*
*
「危ねっ」
俺が歩いていたら、
急に、目の前で階段を踏み外した女がいて、咄嗟に足が動く。
これ、俺がいなかったら大怪我してたぞ。
「大丈夫か?」
「は、はい。
大丈夫です......」
ネクタイの色でわかる。
1年か......。
入学初日から、階段踏み外すとか、どんなドジっ子だよ。
俺がたまたま通りかかったら良かったけど......。
「気をつけろよ」
俺がそう言うと、女が顔をあげる。
すると、女は俺の顔を見つめながら固まる。
なんだよ。
「あ、あの!
ありがとうございます!」
そう言うと、次は顔を下げる。
さっきから、固まったり、慌てて下向いたり忙しいやつだな。
「......ん」
なんて考えてると──。