好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
歴代の月御門でも五指に入る強者と言われた先代・白里じい様を軽く凌駕(りょうが)する黒の力。
黒がこれほどまでに強い力を持つ理由から、小路の中では腫れもの扱いというか、少し距離を置かれていた。
だから余計に、黒に近い存在である俺に懐いて来るんだろう。
……表現の仕方がおかしいのは承知だ。だがほかにいい言葉が見当たらない。
「……手伝えることがあったら、いつでも言えよ?」
俺が言うと、黒は虚を衝(つ)かれたような顔をしたあと、ふわっと微笑んだ。
「そんときゃ頼むわ」
その面差しは、本当に俺と黒の式によく似ていた。