好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
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「名前、何だっけ?」
私は今、姫抱っこで吸血鬼に運ばれていた。
マイペースな鬼だった。何だかもの凄く疲れたので、もう抵抗しない。
何度も言われている通り、気力を起こす血がないみたいだ。
「……まこ。真紅(しんく)って、書く」
「真紅、ね」
「そっちは?」
「小埜黎(おの れい)。黎明の黎」
「れいめい?」
「『黒』って意味だ」
「黎、で黒なの?」
「黒、つまり夜が明ける、で夜明けって意味合いで『黎明』らしいぞ」
「ふーん?」
「真紅……なんかお前やたら軽いから、家帰ったらすぐ寝ろよ? 貧血みたいな状態だから。あ、それともメシ食った方がいいのか?」