好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
「適当に話合わすしかないな」
「うん」
私と黎が肯きあうのを見計らってか、桜城くんがしめた。
「――みんなの誤解は解けたかな?」
「あ、あの……」
女子からの返答を待たずに、桜城くんは黎の方へやってきた。にこやかに喧嘩を売る。
「ちょうどいいから、黎、このままうちへ帰らない?」
「無理だ」
「跡継ぎがいなくなって、弟の俺が割り喰って色々困ってるんだけど」
「知るか」
「若君にまで心配かけてるんだよ? いい加減帰らないと若君に黎のところへ行ってもらうよ?」
「なんであいつが出てくんだよ。俺が小埜の家にいるのは桜城も了承済みのことだろ」
……私の知らない兄弟の話だ。