好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
青年を見て顔面蒼白といった様子の桜城くんに、黙るように、とでもいうように青年は口元に一本指を立てた。
それを受けて、桜城ははっと息を呑んだ。
「黒藤(くろと)」
「わか――黒藤さん。どうされたんですか」
「うん、ちょっとな。黎はもう行ったのか?」
「このまま病院に戻ると……黒藤さんは、一体……?」
「母上が目覚める前に真紅に挨拶しておこうと思ってな」
「! 紅緒(くれお)様が……?」
喉を引きつらせた桜城くん。
私はさっぱり意味がわからない。っていうか『様』ってなに。
青年はまた私の方を見た。
「はじめまして、影小路黒藤だ。真紅の母君の、紅亜様の双児の妹が俺の母にあたるから、従兄妹だな」
「………」
え。
「若君! 真紅ちゃんは影小路とは関係のないはずです。なんで今更……!」