好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
「はいはい。てか真紅って不良? こんな時間に出歩いていいのか?」
「……友達のお見舞い行ってたの。一人暮らししてるから言われることもないし」
「友達すきなんだな。でも、いくら親がいなくても遅くの出歩きは気を付けろよ? 俺だったからいいけど、変な奴に遭ったら」
「………親はいるよ。てゆか、吸血鬼とか名乗る変人に遭ったのも難だよ」
「俺のはほんとなんだからしょうないだろ」
「はいはい。ねえ
「ここかな」
黎が立ち止ったのは、旧いアパート。さすがにびっくりだ。
意識を失っているとき、ゆらゆら揺れを感じながら眠っている心地だったら、黎はもう歩いていた。
家の場所は全く教えていないのに、着いたのは私の住まい。
「あんた……ストーカーとかじゃないよね?」
不安になってきた。と言うか、今更ながら現実感がわいてきた。
今まではふわふわ夢の中のような気持ちだったから、吸血鬼だのファンタジー話を流しながら聞いていたけど、家まで当てられると……。