好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
「んなわけあるか。お前とは今日が初対面だ」
「だよね。……じゃあ、ほんとににおうの?」
「うん。すっげーいいにおい」
「……それは血のにおい?」
「真紅のにおいだよ」
「……どんなにおい?」
ここまでにおいの話をされると気になってしまう。一応、おなごだし。
黎が階段をあがっていく。
「月のにおい」
「……つき?」
「桜色の月のにおい、だな。春の、夜桜が舞ってる中ってーのかな。すきなにおい」
「………」
天性のタラシだ。
私は汗がダラダラだ。