好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
もとより、架は俺と違って桜城の家を誇りに思っている。
ある程度は知っていて当然かもしれない。
……だから、家に興味を持てって言ったのか。
「黎? ……今日はどうする? 澪なら先に帰ってきているが」
今日で二日目。血をいただく日だ。だが、じじいに問われて胸にうずまいたのは、気持ち悪さだった。
「……いらねえ」
「明日にするのか?」
「違う。……もう、澪の血はいらねえ」
そのまま、ふらりとじじいの私室を出た。