好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
「……黎明の子ども、どうする気だ」
「……わからん。わしの手には負えない大事としか」
「だから、御門か。黒の若君では駄目なのか?」
「……若君はまだ不安定じゃ。御自ら真紅嬢の血をと、望みかねん」
「………」
押し黙る式に、背を向け続ける。
「ずっと一緒におってくれる子なら、よいのになあ……」
そう、思ったばかりなのに。
古雅から、応(いら)えはなかった。