好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
5 鬼人
side真紅
明るい。
カーテンで部屋の中への日差しは遮られているはずなのに、眩しくて意識が覚めた。
「ん……?」
「真紅ちゃん、おはよう」
「……ママ?」
快活に言って来たのは、カーテンを開けているママだった。
その窓の向こう――隣の家の樹しかないそこに目が行って、ゾクッと背筋を氷塊(ひょうかい)がおりた。
慌てて視線を室内に逸らす。
「は、……早いね?」
「うん。真紅ちゃんに話があって……大事な話だから、ちょっと時間を取りたいの」
「話?」
私は敷布団の上に座った。ママはその脇に正座する。
「あら?」