好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
「そのくらいはママが護ってあげるわ。ママ、真紅ちゃんと一緒にいたいっていう願いを、捨てたくはないの。……ママの勝手で、振り回してごめん」
――その理由を、私は知っている。唇を、噛んだ。
「……真紅ちゃん?」
やや俯いた私の顔を、ママは覗き込んでくる。
「私、昨日、逢ったの」
「……逢った?」
「黒藤さん……ママからしたら、甥っ子になるんだよね?」
「――。黒ちゃんに、逢ったの?」
ママの声が、一気に緊張したものになった。『黒ちゃん』。
「そっか……もう小路は動いているのね」