好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
意識を失っている間にどうやら私は、目の前のムカつくくらい、本当に腹が立つほどの、こんな状況でさえなかったら見惚れていたような――美麗な『鬼』に助けられてしまったらしい。
私は……ついさっきまで、死にかけていた。いや、正しくは殺されかけていた。……ようだ。
「てか叫ぶな! ……ほら」
また不審者が叫ぶ。
ぐらりと視界が廻って、座っていても倒れてしまった。
……美形不審者の腕に抱きとめられてしまう。不審者はため息を吐く。
「ただでさえ血ぃねえんだから、無駄に使うな」
「……うぅ」
不審者は不審者のくせに、心配するように言ってくれるけど、私は悔しくて悪態をつく。
こんな間抜け姿を見せる醜態が悔しい。
……心配されるような口調をされると、困る。どうしていいのかわからない。
言動は思いっきりヤバい人なのに、助けられてるみたいに思えちゃうから。
「寒いのは我慢しろよ」
言って、服の背中をめくりあげられた。