好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
勝手に引きずり出した布団に横たえた真紅の頬を撫でる。
母が吸血鬼なら、父は鬼人の家の当主だ。
例のない混血だった俺は、今、陰陽師の家系に籍を置いて、監視下にある。
――ということになっている。
監視という名目に匿われて、俺は今、人間として生きることが出来ている。
そんな厄介なだけの自分が。
……よりによって人間の血を欲するようになるなんて。
最期まで傍に、なんて約束を、するりとかわしてしまうなんて。
「真紅……」
最期のとき傍にいる。
その言葉は、嘘じゃない。
「ん……」
「真紅?」
「んー……? ママ……? 今日は遅かったね……」
「真紅―? おーい、ママじゃねーぞー」
「……え。ええっ⁉」
がばっと飛び起きた真紅はうす掛け一枚握って窓際まで逃げた。
「なっ! 何あんた! どやってここに入ったの! 警察呼ぶよ!」
「やっぱ混乱するよな……」