好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
side真紅
そうだ。眠る意識の前。
何かに襲われて斬りつけられて――殺されかけて、吸血鬼に助けられて、そして、血を求められて――そんな夢を、見ていた。
「……ほんとう…?」
大きく目を見開き、見知らぬはずの青年を見つめる。
知らないはずなのに、名前がわかる。彼が誰だか知っている。
「……れい………?」
そんな名前で、
「そうだよ」
「黎、明……の」
そんな意味で、
「憶えてるじゃないか」
「……私、死ななかったの………?」
自分は確かに、この人に命をあげたはずなのに。
「死ぬよ。俺が血をもらうからな」