好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
……私さ、黎がすきなんだ。るうちゃんは、黎のこと知ってるかな?
紫色の小鳥はぴくりともしない。寝入っているのだろうか。
……でもね、私は、黎にとって毒なんだって。
毒は殺人の方法の一つだ。
近代ではそうでもないが、古来、腕力で劣る女性による殺害の道具であったらしい。
毒に魅入られた歴史上の人物なんて、危ない人しかいない。
……私も、自分の血が嫌い。
すきな人を殺してしまいかねない血で生きているなんて。
……けど私、この血でなかったら、黎に逢えてたのかな……?
そこを天秤にかける意味はない。少しでもこの血を正当化したいだけだ。
じゃないと、自分でこの血を、狩り尽くしてしまいたい気持ちになる。
『真紅嬢よ』