好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
………。
傷に、素肌に、手が触れている。
不審者の。
「……ギャーッ! 何すんだ色魔! 変態!」
「傷治ってるか見るだけだ。騒ぐな。人気(ひとけ)がないからって人がいないわけじゃねえんだ。見つかったら恥ずかしいのはお前だぞ?」
「恥ずかしい原因作ってる奴が言うな!」
な……何なんだこれ! 何の仕打ち⁉
「ひゃっ!」
急に背中に手を当てられてびくりとしてしまった。
冷たっ! 手が滅茶苦茶冷たい! こいつどれだけ外にいたの⁉
「結構深く斬られているな。……いや? これって……」
何やら独り言ちているけれど……何でもいいから早く服を着させてーっ!
「うう……あんまりだよ……何が哀しくてこんな醜態……」
「騒ぐな」
呆れ気味に言われた。