好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
真紅嬢が小路流に入れば、そして始祖の転生と知れれば、当然のように当主への道も話として出てくるはずだ。
当主の伴侶が、鬼人の一族の出身か……。
笑える話じゃ。
黒の若君が当主となることはないだろう。
自分がそんなものになるくらいなら、流派ごと滅ぶ道を選ぶのが涙雨の主様だ。
ならば有力となるのは、やはり真紅嬢でしかない。
現状、黒の若君に次ぐ能力の持ち主と言えば、御門流の白の姫君と、今は眠っている先代の紅緒嬢となってしまうくらい、小路内外で見ても黒の若君の力は突出している。