好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
「いや、さっきマズい血って言ってたから。たぶん私の血はマズいと思うよ? 性格悪いし根性ねじ曲がってるし優しくないし」
「……それがお前の自己評価?」
「うん」
黎は顎から手を離して、私の頭をぽんぽんとした。
「はずれだな、それは。真紅はいいにおいがしてうまいよ」
……血の味の評価なんてされる人生、あるんだろうか。
「……黎がゲテ食いなんじゃなくて?」
「お前……自分のこと何て言い方すんだよ」
さすがに呆れた声を出された。
「つっても、俺は真紅のストーカーじゃねえし、真紅のことは何も知らない」
「知ってたら刑務所」
「俺は有罪確定なのか」
拘置所ではない。
「まー、だから? 真紅のこと教えてくれないか?」
また、背中には銀の月。光を背にしたその姿が、微笑みかけてくる。