好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】

血が、蒸発……? 今、黎が倒れたって――? 背筋が冷えあがる。

そんな―――

「真紅、行くぞ」

意識がはっきりしてなお、知らないはずの映像が頭の中を流れた浮遊感の残る私の腕を引いたのは、白い陰陽師だった。

「はくちゃ……」

「白。状勢は」

「ここに来るまでに頭(かしら)を捕らえて来た。やはり真紅を狙ったのは烏天狗だ」

いつの間に来たのか、白ちゃんと黒藤さんが話している。

白ちゃんに手を引かれてあげた視界には、白ちゃんの式の天音さん、無炎さん、そして金色の大鳥のままのるうちゃんと、紫色の髪をした青年――黒藤さんと無炎さんによく似た造形だから、この人が『無月』さんだろう――がいた。

天音さんは身の丈より長い大きな鎌を、無炎さんは日本刀を手にしている。

――何かと戦闘があったのが見てとれる。

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