好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
真紅から離されようとした手を、摑み返す。震えていた。細く震えている。
申し訳ない? 顔向けできない? ……真紅に近づいたら、そんな風に思われるのか?
「……俺が真紅に浮気みたいな真似したから、申し訳ないって?」
「………」
真紅は首を横に振った。雫が飛んだ。泣いて……いるのか?
「黎に……彼女いる……いたら………私、……」
「うん。言ってみ?」
「彼女さんに、申し訳ない……」
「どうして?」
「こんな、優しくされたら………だめってわかっても………れいの、こと、………すきになっちゃうじゃん……」
「―――」
「だから、そういう人がいるんだったらもう私のこと……
「それって」
両手で真紅の頬を包む。上向いた真紅と視線が重なる。
「なりかけてくれているってこと?」