好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
side真紅
「転校っ⁉」
同じ日の夕方、私は海雨の病室を訪れた。
私がここに来て海雨に逢わないわけがない。
「うん。ちょっと家のことがあって、斎陵学園に行くことになりそうなんだ」
「斎陵学園って――」
言葉を失った海雨は、そのまま視線を落とした。
いつものように、窓の外を向いて並んでベッドに座っている私は、少し迷ってから口を開いた。
「……私、ママの生まれた家に入ることになった」
弾かれるように顔をあげた海雨に、偽らずに話す。
「影小路っていう家で、ママは生まれたんだって。そこの先代当主がママの双児の妹さんで、妹さんの息子――私の従兄が、次の当主になる人なんだって。……私はそこに入って、やることが出来た」
「……かげのこうじ……」