好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
「おい。お前……」
「何⁉ 何してんの今⁉」
「……元気だな」
不審者に質問も許さないくらいに、叫ぶことは出来た。
「ひぎゃっ!」
「痛っ」
不審者の頭に私の拳が当たった。
裏拳? なんでそんな低い位置に頭があるのかと思ったけど、背中の傷を見るために身をかがめていたみたいだ。
お、思いっきり殴っちゃった……けど不審者は怒ることもなく、ヒットした右側頭部を手でおさえながら言った。
「悪かったよ。もう触んねえから。あとは血を拭き取るだけだから」
「………」
不審者……男の人は言ったけど、怯えてしまった私は近くの樹にしがみついて震えるしか出来ない。