好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】


半分だけの吸血鬼。
 

こんなに綺麗な血をした子は、こんなに綺麗な心は、知らなかった。


真紅が小埜の一族の中にいればよかったのにと思う。


そうしたら俺は迷わず真紅を主に選んで、一生を傍にいたのに。
 

でも、真紅は人間。徒人(ただびと)。


血をもらうなんて、それは禁忌。


殺してしまいかねない。


俺は純血の母と違って混血だから、吸血した相手を吸血鬼にすることがない。


ただの人間を主にして血を求めれば、いつか殺してしまうかもしれない。


主にした相手が吸血鬼ならば、不死の能力を持つ吸血鬼ならば、問題は薄れてくるけど。
 

恋しい人は求めても飽き足りない。殺してしまうほど、愛するしかない吸血鬼。愛する人の血を。
 

……血を失えば、人間は死んでしまう。ならば真紅は死なせたくない。恋しいから。慕わしいから。……愛しいから。
 

すきになりかけているかもしれないと言われたときは、それこそ心臓が止まるかと思った。


自分が真紅に惹かれている理由は、その血だけだと思っていたから。

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