好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
…………。あれ?
今サラリと思ったけど、あれは――やっぱり黎は、私の中で『すきな人』にカテゴリーされている? だって今、そう思っちゃったし。
……けれど黎は、違うと言った。
私のその感情――黎に抱いているもの――は、生存本能がそうさせるのだと。
……でも、誰かを『すきだ』って思ったの、初めてなんだよ。誰かを、恋愛対象として。
「真紅? どした?」
「………」
どうしよう……どうしようもなくやっぱりすきだ。暁なんかで消えてはくれなかったんだよ。
言われた通りじゃないと言い張りたい。本当に、すきなのだと。大すきなのだと。
一緒にいたいのは最期のときだけじゃなくて――
「真紅―? 大丈夫? どっか痛い?」
「……えっ?」
痛そうな顔をしているのは海雨だった。
私の顔を覗き込んでいる。