好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】


…………。あれ?
 

今サラリと思ったけど、あれは――やっぱり黎は、私の中で『すきな人』にカテゴリーされている? だって今、そう思っちゃったし。
 

……けれど黎は、違うと言った。


私のその感情――黎に抱いているもの――は、生存本能がそうさせるのだと。
 

……でも、誰かを『すきだ』って思ったの、初めてなんだよ。誰かを、恋愛対象として。


「真紅? どした?」


「………」
 

どうしよう……どうしようもなくやっぱりすきだ。暁なんかで消えてはくれなかったんだよ。
 

言われた通りじゃないと言い張りたい。本当に、すきなのだと。大すきなのだと。
 

一緒にいたいのは最期のときだけじゃなくて――


「真紅―? 大丈夫? どっか痛い?」


「……えっ?」
 

痛そうな顔をしているのは海雨だった。
 

私の顔を覗き込んでいる。

< 53 / 413 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop