好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
「……うん。怪我はしてないよ」
「……真紅?」
私のヘンにに落ち着いた表情と声に、海雨は不安げな声を出した。
「真紅……すきな人でも出来た?」
「……うえっ⁉」
いきなり核心を衝かれて、それまでの平静が消えた。海雨は俄然ノリノリだ。
「ねえっ、そうだよねっ? 真紅恋してるよねっ? 誰? あたし知ってる人? もしかして桜城くん? だからあんなこと訊いてきたの?」
矢継ぎ早な質問に、顔が火照るのばかりを感じる。海雨の目は鋭い。
たった今気づいた自分の心は、もう親友に見透かされている。
「~~っ、わ、私飲物買ってくる!」
「あっ! 逃げるなー!」
逃げさせてくれー!
心の中で叫んで、海雨の病室を飛び出した。