好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
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「はー……」
時間を稼ぐためと、同じ階にいては海雨に見つかってしまうと思ったので、わざわざ売店のある一階まで降りた。はー……困った。
海雨の分もお水買っていこ。
海雨は過度の糖度やカフェインの摂取が制限されているので、ミネラルウォーターを選ぶ。
自分も同じもの手にして、会計を済ませた。けど、海雨も普通の女子なんだよねぇ。
恋バナ大すきか。
でも、まさか黎のことは何と説明していいのだろうか。助けられた、だけなら言えるけど……。
海雨のことだから、いつ、どこでどんな状況で――と話を掘り下げてくるだろう。
そうしたら言える言葉がない。
もう逢えない人なのだと。
どこにいるかも知らない人なのだと。
「え」