好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
思わず声を出してしまった。
すれ違った人がいた。
「れ」
背中しか見えない。でも、
追いかけた。
「………いな、い……?」
その先には誰もいない。
「ま……そだよね……」
こんな偶然で都合よく逢えるわけがない。
そんな物語の中を生きてはいない。
そこに大すきな人がいるなんて。
妄想が見せた幻だろう。
………。
どこにいるの?
淋しく、そう思う。