好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
「お前の気まぐれにはいつも感心させられるな」
「ありがとうございます」
「しかしそれは、あれがお前に気づいて姿を消したと?」
「いえ、それはないと思います。そうですね……吸血鬼が自分から消したと言うよりは、何かに呑み込まれた――ような」
「………」
呑み込まれた?
「……その後はどうした? いつあれが戻ったとか……朝にはいたんだろう?」
「眠くなったから帰ってきましたのでわかりかねます。朝にはふつーに自分の部屋にいましたが」
「……お前は気まぐれ過ぎるぞ。もう一回耳生やせ」
「やです」
式の放置を決め、考える。