好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
side真紅
何だか料理を頑張ってみようと思った。
「あつっ!」
熱したフライパンに指が触れてしまった……。手を流水につけて、ため息をつく。
自分はキッチンに嫌われているんだろうか。むーっと唸りながら蛇口を捻る。
それでも、頑張ってみようと思って、頑張るんだと決めた。
「自分がこんな女の子っぽいのキャラじゃないんだよー……」
けれど次に出るのは愚痴の混じった息。
そしてまた次の瞬間には頑張る思いでいっぱいになる。
天秤がぐらぐらし過ぎている私だった。
もう逢えないという人を想って、何をしているんだろう。