好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
でもいつかは逢う人だからとすがってしまうのだろうか。
……でも何で料理?
苦手なことに向かっている自分。自問してしまった。
何か出来ること、何かしたくてしょうがなくって。
ただ立って待っているだけは出来なくて。
目についたことをしてみた。
……全く使った気配のないキッチン。
料理をしないでいたのは、それがママとの繋がりだったからだろうか。
記憶にあるママは、とても上手に、手際よく道具と材料を動かして。
美味しいご飯を作ってくれた。
だから、料理はママに頼り切りでいることが、私を無意識にママへ繋いでいる糸だった気がしてきた。
ママと離れて暮らして、恨むことはなかった。
知らない恋人といても、変わらないままだったから。
「真紅ちゃん⁉ どうしたの⁉」