好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】

殺されかけたことや血がどうのというのは言わずに、ぼやかした言い方になってしまったけど……逢いたい人がいる、その気持ちは総て話した。

「………」

ママの問いかけに、こっくり肯いた。

暁になっても消えない想い。

どうすればいいの。

「そうね――」

ママは立ち上がり、押入れから私の習字道具を持ち出して来た。

中学時代選択授業で取っていたので、開けてすぐの場所に置いてあった。

その中から下敷き、半紙、文鎮、硯に墨を流し、筆を取った。

「……ママ?」

< 78 / 413 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop