好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
殺されかけたことや血がどうのというのは言わずに、ぼやかした言い方になってしまったけど……逢いたい人がいる、その気持ちは総て話した。
「………」
ママの問いかけに、こっくり肯いた。
暁になっても消えない想い。
どうすればいいの。
「そうね――」
ママは立ち上がり、押入れから私の習字道具を持ち出して来た。
中学時代選択授業で取っていたので、開けてすぐの場所に置いてあった。
その中から下敷き、半紙、文鎮、硯に墨を流し、筆を取った。
「……ママ?」