好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
目尻が下がって、唇が薄く開き小さな笑顔になる。
「こうすると、ちょっと気持ち楽にならない? 自分以外の何かを信じるって、逢いたいと思ってる相手も信じてるって感じしない?」
ママは私の頭をぽんぽんと叩いた。
「……思っててくれるかな」
「わからないから信じるんじゃない」
相手を。
その前に、自分を。
逢いたいと思っている気持ちは、自分しか持っていないものだから。
その気持ち一つ、信じて。
大事に抱いてあげて。
「私、ママすきだなー」
「私だって真紅ちゃんが一番すきだからね」
自然と生まれる笑顔。
恋に迷ったら、こういう道もあるんだ――。
この初恋、いつか……。