好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】
それが、姉の娘である真紅だった。
紅亜様に陰陽師としての力はない。
だが、その娘である真紅は――影小路を創った、始祖の一人の転生だった。
小路はなんとしても、真紅の命を護らなければならない。
始祖の転生は強大な力を持つ代わりに、その血は至高。
妖異が得てしまえば、また大きな力と生命力を与えてしまう。
――ゆえに、小路の始祖の転生は妖異に狙われやすく、ある程度成長するまで存在を秘されているのが常だった。
「だが、今回は少しわけが違う」
黒は普段のおちゃらけた様子はどこへやら、難しい顔で続ける。
「真紅嬢は、純粋な小路の者ではない……」
俺が補うと、黒はそうだと肯いた。
「退鬼師桜木の血が入っている」