見上げてごらん、夜空に輝くあの星を
武道・ダンス大会
新学期が始まってから1ヶ月、冬の寒さが体の芯にまで襲う日々がやってきながらも、通常通りの授業がつつがなく続いていた。古式のストーブが部屋全体を温めているため、授業が行われている間に限っては冬の寒さは全く感じなかった。
そんな中でも一際目立って嫌われるのが移動教室で、特に主要教科以外の科目での移動教室は多くの生徒に嫌われており、例えば家庭科や音楽、そして体育といったものが主だった。とはいっても家庭科や音楽といった科目はただ校舎内を移動するだけでよく、冬の冷たい風に当たることはなかった。その分、体育が外に併設してある道場に移動しなくてはならないため、冬の寒さをもろに感じながら移動しなくてはいけないという授業であった。その上暑苦しく面倒くさいあの教師のせいで授業の評価は下がる一方であった。
「そういえば合計8回とか言ってたよな。最初聞いた時はたったそれだけか、意外と楽だなと思っていた自分をグーで殴りたい気持ちだわ」
慎一もその中の一員で、この寒い移動教室に文句たらたらであった。たしかに8回というとそこまで多くないと感じるかもしれないが、ただでさえ週一の体育で早いと感じるわけがない。数の錯覚みたいなものだ。
「まぁ確かにな。週に1回しかないんだから仕方ないだろ」
「それだけじゃない、授業の内容も全然面白くないじゃんか。最初の授業からずっとずっと同じようなことばかりで、正直つまらん。基礎だかなんだか知らないが、こっちの身にもなれってんだ」
先に着替え終わって談笑に耽っていた俺は、慎一が着替え終わったのを見て座っていた机から腰を上げてドアを開け廊下へと出た。
「あ、でもそういえば前回の授業で次の回からは実践的な練習をするとか言ってなかったか?2人1組でペアを組まされて流れ作業のように取っ組み合いをさせられるみたいな」
字面だけ見れば全くと言っていいほど面白くないものだがな。
挙句には授業内容がつまらない、と言い出すが、それに関して否定する気は全くない。
下駄箱で冷たくなった運動靴に履き替え、外に出る。
「うわっ...寒すぎだろ。雪でもふりそうな天気だ」
それどんな天気だよ...と思うのは真上に広がる空は真っ青に晴れているからだ。ただただ寒いだけという地獄のような状況俺も一緒に置かれているからわかるのだが。
しかし、道場の中に入ると一転、暖房がガンガンについているナウでヤングな施設となるのだ。道場といえば、そんなハイテクなものはなく精神力を鍛えるためにひたすら耐えるのだ!みたいなイメージがあるかもしれないが、今の時代だと全くそんなことはないのだ。道場に来た者から順次アップという名の基礎トレーニングをやらされて、その後に先生がやってくるというシステムだ。正直やらなくてもバレないやろ、とか思ってしまうが、なぜかやってしまうのはなぜだろうか。
「よし、今日からはより実践的な授業に入っていく。本格的に防具もつけてやっていくから、つけ方などを教科書で確認しておいてくれ」
拳法というのは、腹回りと顔に防具をつけて、手に拳法用のグローブをはめる。理由としては、まぁ言ってしまえば単純に危ないからだ。素手で防具を殴ってもいけないし、グローブで素の身体を攻撃してもいけない。当たり前のことだが、これは剣道とかであっても同じようなものだ。全身をガッチガチに防具で固める。
足と拳を使って打撃を与える拳法だが、防具だけでなく、やはり身のこなし、基礎ができていないと難しいし、危険も伴ってくる。なので、授業ではあくまで基本を忠実に教えてその中で優秀な者だけを学内で大会という形で発表する場を設けるということだ。
俺はあんまり目立つのもアレなので、とりあえず基礎をそれとなくやっている風に見せることにした。
なんともつまらない授業だ、などという野暮な一言は言わない。基礎だって大切な練習だ。これも祖父から散々言われてきたことだ。
「では俺がこれから見本を見せるから、同じようにやっていってくれ。最初はゆっくりでいいぞ」
そうして実践的()な練習へと入っていく授業が開幕した。
そんな中でも一際目立って嫌われるのが移動教室で、特に主要教科以外の科目での移動教室は多くの生徒に嫌われており、例えば家庭科や音楽、そして体育といったものが主だった。とはいっても家庭科や音楽といった科目はただ校舎内を移動するだけでよく、冬の冷たい風に当たることはなかった。その分、体育が外に併設してある道場に移動しなくてはならないため、冬の寒さをもろに感じながら移動しなくてはいけないという授業であった。その上暑苦しく面倒くさいあの教師のせいで授業の評価は下がる一方であった。
「そういえば合計8回とか言ってたよな。最初聞いた時はたったそれだけか、意外と楽だなと思っていた自分をグーで殴りたい気持ちだわ」
慎一もその中の一員で、この寒い移動教室に文句たらたらであった。たしかに8回というとそこまで多くないと感じるかもしれないが、ただでさえ週一の体育で早いと感じるわけがない。数の錯覚みたいなものだ。
「まぁ確かにな。週に1回しかないんだから仕方ないだろ」
「それだけじゃない、授業の内容も全然面白くないじゃんか。最初の授業からずっとずっと同じようなことばかりで、正直つまらん。基礎だかなんだか知らないが、こっちの身にもなれってんだ」
先に着替え終わって談笑に耽っていた俺は、慎一が着替え終わったのを見て座っていた机から腰を上げてドアを開け廊下へと出た。
「あ、でもそういえば前回の授業で次の回からは実践的な練習をするとか言ってなかったか?2人1組でペアを組まされて流れ作業のように取っ組み合いをさせられるみたいな」
字面だけ見れば全くと言っていいほど面白くないものだがな。
挙句には授業内容がつまらない、と言い出すが、それに関して否定する気は全くない。
下駄箱で冷たくなった運動靴に履き替え、外に出る。
「うわっ...寒すぎだろ。雪でもふりそうな天気だ」
それどんな天気だよ...と思うのは真上に広がる空は真っ青に晴れているからだ。ただただ寒いだけという地獄のような状況俺も一緒に置かれているからわかるのだが。
しかし、道場の中に入ると一転、暖房がガンガンについているナウでヤングな施設となるのだ。道場といえば、そんなハイテクなものはなく精神力を鍛えるためにひたすら耐えるのだ!みたいなイメージがあるかもしれないが、今の時代だと全くそんなことはないのだ。道場に来た者から順次アップという名の基礎トレーニングをやらされて、その後に先生がやってくるというシステムだ。正直やらなくてもバレないやろ、とか思ってしまうが、なぜかやってしまうのはなぜだろうか。
「よし、今日からはより実践的な授業に入っていく。本格的に防具もつけてやっていくから、つけ方などを教科書で確認しておいてくれ」
拳法というのは、腹回りと顔に防具をつけて、手に拳法用のグローブをはめる。理由としては、まぁ言ってしまえば単純に危ないからだ。素手で防具を殴ってもいけないし、グローブで素の身体を攻撃してもいけない。当たり前のことだが、これは剣道とかであっても同じようなものだ。全身をガッチガチに防具で固める。
足と拳を使って打撃を与える拳法だが、防具だけでなく、やはり身のこなし、基礎ができていないと難しいし、危険も伴ってくる。なので、授業ではあくまで基本を忠実に教えてその中で優秀な者だけを学内で大会という形で発表する場を設けるということだ。
俺はあんまり目立つのもアレなので、とりあえず基礎をそれとなくやっている風に見せることにした。
なんともつまらない授業だ、などという野暮な一言は言わない。基礎だって大切な練習だ。これも祖父から散々言われてきたことだ。
「では俺がこれから見本を見せるから、同じようにやっていってくれ。最初はゆっくりでいいぞ」
そうして実践的()な練習へと入っていく授業が開幕した。