美男子ガイド。
すると声が聞こえた。
「愛川ー!早くこいよ」
奈知の声だ。
え、大丈夫なの?
覗いてみると、手押し車は止まってて、奈知は片手を離してる。
え、吉井先生よりすご。
あたしは急いで坂道を駆け降りた。
「奈知って怪力?」
「んー。人並み?」
「なのにソレ…」
すると奈知は両手を離す。
「ああっ!」
急いで手押し車をつかむあたし。
「残念でしたー」
奈知の目線の先は、ストッパー。
…ストッパー?
「吉井先生に教えてもらってたんだよな。坂道は危ねえからなんかあったらこのストッパー踏めって」
「はあ?」
だからあんなヨユーだった訳!?
「でもなんであたしには教えてくれなかったの?」
「……忘れてた」
マヌケな奈知の奥には、坂の下にいた腰をまげたあのおばあさんが歩いていた。