大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
「ハヤ……… 」

胸が詰まる。
いろんな思いが込み上げて、涙になって溢れて来る。

「ハヤ、ごめん。
ありがとう。」

私は手を付いて、頭を下げた。

「やめろよ。アヤが悪いわけじゃない。」

ハヤが私の手を取った。

「これで俺たちは、もう許婚じゃない。
ただの幼馴染だ。
アヤが鼻タレだった事も、男勝りなじゃじゃ馬
だった事も知ってる、ただの幼馴染だ。
お妃様の秘密をバラされたくなかったら、
幸せになるんだぞ?」

「………うん。
っていうか、私、鼻なんか垂れてないし、
そんなにじゃじゃ馬でもなかったわよ!」

「くくっ
そういうとこだよ。
こんな勝気なじゃじゃ馬、俺しか乗りこなせ
ないと思ってたけど、違ったんだな。」

ハヤが頭を撫でてくれる。

ハヤの手、あの頃より大きくなった気がする…
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