大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
すると、大王は、私を抱き上げたまま、口づけた。

「アヤ…
嬉しすぎて、もう、何と言っていいのか
分からん。」

「ふふっ
とりあえず、家の中で皆さんが追いついて
来るのを待ちませんか?」

私が言うと、

「そうだな。」

と言って家に入ろうとする。

しかし、そこへ蹄の音が響いてきた。

「大王、下ろしてください。
供の方がいらっしゃいます。」

私が言うと、大王は素直に下ろしてくれた。

1番に駆け戻ってきたのは、吉備氏の長男 加津彦(かつひこ)だった。

「大王、ご無事でしたか。」

加津彦は馬を降りて言った。

「うむ。
俺は中で休んでおる。
供の者が揃ったら、声を掛けよ。」
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