大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
それを聞いて、母は慌てて膝をつき、頭を下げ、言った。

「申し訳ございません。
年端のいかぬ娘のこと。
ご無礼はどうぞご容赦くださいませ。」

「お母さん!!」

なんで!?
悪いのは、この人たちでしょ!?

私は尚も、門外不出の機織りを見せてはならないと、仁王立ちのまま、先程の男を睨みつけていた。

が、母に衣の裾を引かれ、しぶしぶその場に膝をついた。

「随分と勝気な娘だな。
名は何という?」

群衆の中程にいた背の高い若い男が言った。

私は顔を上げて、

「アヤ、と申します。」

と答えた。


その時、ようやく男たちがずぶ濡れで、体中から水を滴らせている事に気付いた。

しかし、機織り場には、献上品の絹織物しかない。

「すみません。
ちょっと退いてください。」

私は立ち上がり、男たちを掻き分けて、大雨の降る外へ飛び出した。
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