大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
駆けつけた兄に大王は、

「縄を持って来て、縛り上げよ。」

と命じた。

兄はすぐに縄を取りに行き、加津彦を後ろ手に縛り上げた。

私はというと、転んだまま腰が抜けて、立てなくなっていた。

大王は太刀をしまい、再び、私を抱き上げた。

私は大王の首にしがみついた。

「大王………
ご無事で何よりでした。」

私の目から溢れた涙が、大王の襟を濡らしていく…

「タテ、他の者が戻るまで、その者を見張って
おれ。」

「はっ!」

大王は私を抱いたまま、家の中に入った。

そして、いつものように私を膝の上に乗せて抱きしめてくれる。

「アヤが無事でよかった。」

大王は私の耳元で囁いて、髪を撫でた。

「これから、アヤには護衛を付けよう。
早急に腕の立つ信頼できる者を選ばねば。」
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