大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
初宵
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初宵(はつよい)

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香久山に戻ると、加津彦の処分を巡って慌ただしくなり、大王は政(まつりごと)に忙殺された。

大王を殺害しようとした罪は一族に及ぶ。

しかし、吉備は妃も出す有力な豪族。

どこまで処分を下すのか、誰もが固唾を飲んで見守っていた。



大王が私の部屋に現れたのは3日後だった。

「アヤ!」

「大王!」

私は立ち上がって、久しぶり会う大王に縋り付いた。

大王は私の背に腕を回してしっかりと抱きしめてくれた。

「アヤ、寂しかったか?」

「はい。」

私が答えると大王は嬉しそうに微笑んだ。
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